名古屋支部 HOMEへ戻る

東亜天文学会 名古屋支部 2023年03月11日(土) 例会模様

-------------------------------------------------------------------- 日時 :2023年03月11日(土) 14:00〜16:30 場所 :名古屋市 西生涯学習センター 第一集会室 参加者:木村達也、吉田孝次、池村俊彦、貞永幸代、長谷部孝男 主な話題: 1. 話題いろいろ (長谷部) (1) 小惑星による掩蔽観測
  天界で毎号報告が掲載され、私の所有の器材でも観測可能と感じていました。   4月14日に好条件の予報があり、練習で2月14日の事例でトライしてみた。 予報図
  暗い恒星の導入は初めてで、CPC-1100のGOTO RA-DEC機能を試用、   特に経緯台であることを踏まえた最終微調整方法の確認を行った。 直前の撮像結果−予報図中央部分の斜め長方形の範囲(ほぼ逆転)。
  測定の時間分解能を上げようとゲインを上げ露光を短めで撮影したが、   シンチレーションが激しく判定困難で掩蔽観測として成立するのか不安になった。   OAA星食課の井田三良幹事に観測地情報と共に相談のメールを入れたところ、   たくさんの有益情報をご教示いただいた。   シンチレーションを抑えるにはゲインを下げること、時刻のズレを確認するサイト、   撮像データ内に1msecレベルのLED光を入れる装置や解析ソフト例の紹介など。   データをお送りすれば解析していただける、ということでお願いしたところ、 井田様によるLimovieを用いた解析結果
  減光は無い判定だった。   春日井は掩蔽現象の南限位置に近く、これも意義ある結果だとのこと。 (2) ご近所天体観測会   木星・金星の接近と、プレアデス星団・オリオン大星雲を対象とした電子観望を試みた。 案内状
  直前まで雨天であったこと、強い風で冷え込んだせいか、参加者は19名と少なめ。   プレアデス星団は良かったが、オリオン大星雲は判ってもらえたかは微妙。   今回は月が近くにあったので好条件下で再トライしてみたい。 (3) 第153回 福井教室
  2023.02.25 名古屋大学 福井康雄 名誉教授   オリオン大星雲中のトラペジウムを始めとする巨大星のでき方に関する福井論文を解説。
(4) 中日新聞の天文関係記事   2月11日から3月10日の1か月間で、毎夕刊掲載の星の物語を除き23件。   H3関連:打ち上げ延期・発射停止・再設定・再延期・打ち上げ失敗など16件、りゅうぐう砂に有機物1件、ISS帰還機2件、   りゅうぐう砂に有機物1件、ISS帰還機2件、JAXA宇宙飛行士採用決定3件、NASAアルテミス計画1件。   夕刊連載「星の物語」は2月初めにはZTF彗星に関する記述、下旬から3月初めには木星―金星の接近に関するものが多出。 (5) OAA名古屋支部ホームページについて   池村さんからのご教示メールに習って、2月案内のhtmをtxtへ変更したものを修正し、皆さんからの画像データやファイルや   テキストを追加して2月例会模様を作成した。   池村さんに確認いただき、「ファイル名の英数字のみ使用」、「大文字/小文字の区別(統一)」の修正を加えて動作が確認でき、   現在これが見える状態になっている。   修正内容の指摘を今後の作業に生かしていけば、池村さんに全依存してきた作業を少し分担できそうで、   しばらく長谷部が編集し池村さんにアップと管理をお願いしようと思う。 2. 話題いろいろ (池村) 
(1) 宇宙遮光板アイデア   ふと3日前に思いついて検討し、国立天文台の渡辺潤一先生に   メールを送ってみましたところ、国内外ですでに検討が進められているとの情報をいただきましたので、   これらの顛末をお話しします。   池村の思いつき   系外惑星の最先端の観測について、最近コズミックフロントで、その状況が放映されましたが、系外惑星の物理状況の観測は、   困難な中、いろいろな方法で観測している様子がありましたが、地球程度の小さな惑星の物理状況の観測はできてないようです。   以前 渡部先生が東京から富士山の頂上にある100Wの電球の周りを飛び回っているショウジョウバエを観測するようなものとのお話し   されていました。あれから、大型の宇宙望遠鏡は作られたものの、大きな進展は無いように思います。すでに候補は多く見つかって   いますが、次にどうやって候補の地球程度の小さな系外惑星の物理状態の詳しい観測をするか、という段階だと思われます。   (捜索ではないということ)   現在の焦点前に遮光物を置く方法では、主星の光が望遠鏡の中まで入っており、回折の影響と、2次鏡のサポートによる光条やレンズの   汚れ等による散乱光が発生します。この遮光を望遠鏡の外の遠方 つまり、人工的に疑似皆既日食の状態を作ってハビタブルゾーンの   惑星の光だけを望遠鏡で観測できれば、もっと成果が得られるのではないか。という思いつき案です。   想定   恒星は太陽程度 実直径 100万km程度 距離100光年 惑星軌道は主星から15000万km つまり100光年離れた場所の太陽系のような惑星系を   想定してみました。恒星の視直径0.0002" 地球程度の惑星の主星からの視距離0.03" 望遠鏡の口径 10m 解像力 0.01"   人工的に皆既日蝕を作って惑星の光だけを取り込めるようにする。 その遮光板は望遠鏡が観測する恒星方向の例えば 100万km先に専用の   人工天体で設置する。100万km先の望遠鏡の解像力5m 恒星のみを隠すには直径10.05mの円版(望遠鏡口径+100万km先の0.0002")    実際には15mくらいがよいかも、 (大きさが可変できるとよい) 設置誤差や恒星の周りのコロナなどを考慮し15〜20mの円板と思われる。   地球程度の惑星は、この円盤の中心から15mにあるので、 容易に惑星の光で分光観測が可能となる。
  さらに、遮光板は円盤だけでなく、一部切り込みを入れた形や穴あき円盤 円盤の一部が欠けた形、また、大きさも可変にできると良いかも。   コロナグラフの遮光装置のように 傘歯車のような円錐形にして、中心の芯の部分に、主望遠鏡との通信や、位置確認のライト等により   設置位置制御を行う。   懸念事項   ・遮光用人工天体の、位置移動制御の難易度 位置保持制御の精度と保持時間がどの程度可能か。    地球から見た惑星運行の留になるようなやり方でも良いのでは、..   ・位置制御のための燃料、噴射ガスの容量、寿命、補充方法   ・位置制御のための噴射ガスが、主望遠鏡での系外惑星観測に影響しない配慮、工夫   もし、この方法が有効であるなら、次のような検討   ・地上の望遠鏡と人工遮光天体の場合   ・宇宙望遠鏡と人工遮光天体の場合   ・人工遮光天体の距離  1万km、100万km 1000万km 1億km 10au以上   ・遮光用人工天体の、位置、主望遠鏡と連動して位置を合わせるためのその制御方法、軌道計算等の試行     あらゆる方向の場合を想定した位置関係保持シミュレーションと、主星皆既食継続時間の試算   ・遮光板天体による光の回折現象の程度    ・分光観測を含め、系外惑星以外にも、どのような観測が考えられ、そのために、遮光の大きさ どのような形状 円錐形 傘形可変範囲    平面円盤 色 形 穴あき等の検討、たたんでロケットに乗せる工夫   ふと思いついただけです。誰かが既に思いついて、検討済かもしれません。   もしかして、誰も思いついてないなら、お役に立てればと思います。    以上   -------------------------------------------------------------------------------   渡辺先生からは、海外の検討状況 スターシェードという名前で、たたんでロケットに積み込むアイデアを募集しているとのこと。 YouTube HabEx 動画   国内での検討状況   日本大学Euryopsミッション(pdf) 1475km先に直径10mのスターシェード ヒマワリ型の円盤でした。 100万kmとかもっと遠くはどうなんでしょうね。 (2) 46億年前、太陽系生成の元となった星間雲は今どこに
     地球にある天然元素は金、プラチナを含みウランなどもあるので、太陽系生成の元となった星間雲は超新星爆発や中性子星連星合体爆発等   と考えられます。太陽系向点はいて座付近、その反対側、太陽背点はオリオン座やバラ星雲付近の星間雲M45付近の星間雲も太陽系生成時の   星間雲の可能性...それらしい星間雲があれば撮影してみたいと思って考えてみました。
  結論は「無理」でした。   もし、その元がM1のような超新星爆発だったとしたらM1かに星雲は爆発したのが約1000年前で、現在6光年の大きさです。今後白鳥座の網状星雲   のように広がっていくと想像できます。1億年経ったら...1億年÷1000年=10万 6光年×10万=60万光年 星間物質などに妨げられるのでここまで   大きくはならないとは思いますが、銀河系の直径は約10万光年。太陽付近では2.2憶年で一周します。銀河系が1周する2.2憶年のあいだに超新星   爆発後の残骸雲は、銀河系全体に広がりさらに回転してもみくちゃになり、銀河系が46憶年かかって約20回転もしていれば、太陽系の元となった   星間雲はあとかたもない、と容易に想像できます。 したがって太陽系形成の元となった星間雲は現在も形が残っているとは考えられず、   残念ながら無理でしょう。   星間塵は広がり切ってしまって、ダークマターなっているのかもしれません。太陽系生成の元となった星間雲はM45だったかもしれないという   うわさをずっと前に聞いたことがありました。到底無理だと考えられます。簡単な計算でしたが、一度はゆっくり考えてみると納得できます。
3. 話題いろいろ (吉田) (1) IAU国際天文学連合京都総会1997 第22委員会会合の思い出   京都大学生存圏研究所 信楽MU観測所(中村卓司博士当時、国立極地研究所教授 所長現在)が第二回目Lecture meetingのホストを   引き受けてくださりました。   日本流星研究会有志達は、中村先生、堤さん(現在は極地研教授)のお世話で、MU観測所での共同観測や研究会合をやっておりました。   京都駅からの移動手段は、私の赤いカペラをはじめ、関西からは上田昌良さん、司馬康生さんらの車で信楽まで行きました。   Commission 22といっても、Loc. として、日本流星研究会メンバー及び田峰微小天体観測所のメンバーの絶大なる協力があっての行事でした。   長谷川一郎会長は当時事務局長の私の提案の多くを可能にしてくださいました。そして、多くの方々のご協力により、今では夢のようなことが   可能になりました。(この年の8月は会社には3日しか出社できませんでした^^) 写真1) 撮影 上田昌良さん



当時の私の姿^^ 右はC22委員長(当時)ポルブチャン博士(スロバキア科学アカデミー) 写真2) 撮影 吉田孝次
中央はニュージーランドのバガレイ教授 写真3) 撮影 吉田孝次
ホストのご挨拶をされる中村卓司先生、奥右はNASA エイムズ研究所のイェニスケンズ博士  ババジャノフ博士がお亡くなりになられたとのことです。
  写真は1997年 IAU国際天文連合京都総会の期間にC22委員会のPro-Ama. WG(流星、彗星、小惑星、宇宙塵を取り扱う第22委員会の   世界中のプロ8名とアマチュア8名からなるワーキング・グループ)で 日本からはプロとして長谷川一郎博士、渡部潤一博士と   アマは私がメンバーでしたので、Lecture meetingなるものを企画しまして、京都の佐竹さんに会場を準備していただきまして、   市内で1回目の会合をもちました。   左は、当時日本流星研究会会長、東亜天文学会会長、大手前大学教授の長谷川一郎博士(現在は故人)と、右はタジク共和国の   流星研究者ババジャノフ博士です。   流星の破砕化 (fragmentation) を写真鏡とフィルム動画でとらえたものを見せていただきました。   高感度電子映像技術がなかった当時を考えますと、ものすごい挑戦だったと思います。   現在でも長焦点の高速写真鏡を使った破砕化プロセスをとらえたものはなさそうです。   私は日本で二度、スロバキアで二度お会いしました。   科学者としては、もちろん、優しくて紳士で、素晴らしい方でした。   ご冥福をお祈り申し上げます。 (2) 観測地の紹介   棚田で有名な静岡の久留女木です。

4. いただきました (貞永)
2月例会で長谷部さんより紹介の「月面を見て楽しむためのガイドブック」を
福田学さんよりご自身で撮影された上弦の月の写真と共にお送りいただきました。 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  支部長  木村達也  メンバー 吉田孝次、伊賀正夫、長谷部孝男、貞永幸代、        小林 美樹、中谷仁、今枝優、土合加津代 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

OAA名古屋 HOME