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東亜天文学会 名古屋支部 2011年09月10日(土) 例会模様
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出席者5名 伊賀正夫、木村達也、長谷部孝男、浅井香代、池村俊彦
日時 2011年09月10日(土) 14:00〜16:30
場所 名古屋市西生涯学習センター 第3集会室
議題
1.8月28日に天文講演「宇宙から宇宙を見る」に行ってきました。(長谷部)
名古屋駅北のルーセントタワービル1階(サイエンスカフェ)ガリレオガリレイで、
予約して参加しました。
「宇宙から宇宙を見る」〜スペースからの天体観測〜
宇宙航空研究開発機構JAXA 宇宙科学研究所 赤外・サブミリ波天文学研究系
教授 中川 貴雄 氏
(司会・途中のコメント、Q 名古屋大学 教授 杉山 直)
講師;
岐阜県出身 岐阜高校-東京大学-助手-助教-JAXA
現在 国際計画になったSPICAの責任者
講演(12:00から約1時間);
タイトルの最初の宇宙はSpace、後のはUnivaerse:大気圏外から、深宇宙の観測
JAXAは筑波、相模原、発射場として内之浦、種子島。
1970年 東大が1大学として人工衛星を打ち上げ成功。(4回の失敗後:マスコミに叩かれる)
当時の宇宙開発は基本的に軍主導。これに対し非常に珍しい形、平和利用として誇ってよい。
(はやぶさのターゲット イトカワの糸川英雄教授。はやぶさで、相模原キャンパスは映画撮影の
ロケ地になり、普段スクリーンでしか見ない俳優を間近に見たりできた。)
宇宙科学の目的:Where we came from? Are we Alone?
2つの進め方: @ 探査機で探査、A 遠隔地から観測する
Aの障害として大気がある。大気:可視光と電波の一部のみ透明。
メッセージの種類として電波〜X-ray。可視光はオーケストラの中で1オクターブのみ聞いている状態。
太陽系の惑星は固体惑星とガス惑星。
原始惑星系で降着円盤→ 近傍に岩石惑星、遠くに冷えたガスを集めたガス惑星というシナリオ。
サイエンスの立場からはサンプル1は不足→ 他の惑星系の発見を目指した。
ドップラー効果で天体速度1m/secまで検出可能、太陽/木星での見積もり5m/sec→検出可能
数年間見つからなかった。最初に見つかったのは木星の0.5倍で周期4日。見当違いをしていた。
その後続々発見、ただし地球型の発見はわずか。
赤外は、反射光でなくそれ自体が発光していて、本質を示している。可視光と赤外光での写真比較。
惑星は可視光では中心星の光の反射、赤外では惑星自体の発光:コントラスト比が1000倍向上。
1:100億 → 1:1000万へ 見つかる可能性大。直接見るには、赤外が良い。
スペクトルで酸素分子(特にO3オゾン)が見つかれば生命活動の証。波長9-10mmの赤外。これを狙う。
SPICAは太陽-地球系のL2に投入する。地球から150万km反太陽側。
口径3.2m、観測対象の温度以下に冷やす必要があり、赤外望遠鏡は冷却が必要、従来は液体ヘリウム。
6°K実現に冷凍システム搭載、大きなタンクを不要とし、衛星の大半を望遠鏡本体にできる。
日本の提案に欧米が追従、珍しく日本主導の国際計画、是非成功させたい。
質疑応答:かなりたくさん(15件?)の質問にそれぞれ回答
L2点は遠くHubble事例のような修理は不可能→ 絶対に壊れないようにすすめているが、・・
1G、1atm、20℃の地上での検証が課題。
問題点は?→ 一番は予算。JAXAでは認定された計画、学術会議もOK、国家予算が。
冷凍システムの原理は? →カルノーサイクルみたいな+ジュールトムソン効果(言葉の記録のみ)
太陽電池動力1Kw程度のコンプレッサが一抱え位の大きさ×11個
これまで最大の感動は:→ 気球で赤外望遠鏡を打ち上げてきたが数人でシステム全体を運営する。
それを使って他でやってない初めての科学的成果が出せた時。つぎは2018年のSPICA。
赤外を始めた理由?→ 当時はほとんどやっている人がいなく、やりがいを感じて選んだ。
趣味は音楽(学生時代を聞かれて)。 (記 長谷部 孝男)
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2.都心星野のDVD(木村)
以前撮影した「比較明用画像」を動画にしました。
![]() | 中川運河 松重閘門(ナカガワウンガ マツシゲコウモン ) 名古屋市中川区山王1 東側から真西を撮影しました。 右上のカーブの軌跡は飛行機です。 この縮小画像をクリックすると原画像が見えます。
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![]() |
名古屋市科学館 名古屋市中区栄二丁目17番1号白川公園内 バックに見えているのはオリオン座です。 この縮小画像をクリックすると原画像が見えます。
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![]() |
カトリック布池教会 名古屋市東区葵1-12-23 北天の日周運動 カシオペア座が見えています。 この縮小画像をクリックすると原画像が見えます。 ![]() |
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4. 最近の天文の話題 (伊賀)
最近の天文現象についての撮影結果・撮影予定の話
(1)VSOLJニュース(278)によると、
西村さん、りゅう座に新しい矮新星を発見。2011年9月5.529日11.8等
(CCDノーフィルター)。
赤経 18時42分28.1秒、赤緯 +48度37分42秒 (2000.0年分点)
(2)VSOLJニュース (277)によると、M101に爆発直後のIa型超新星。
赤経 14時03分05.80秒赤緯 +54度16分25.3秒 (J2000.0)
もしこの超新星がIa型ならば、20日ほど後になると予想される極大では、
10等前後に。
(3)Garradd彗星がこと座とわし座の間を西進している。7等くらい。
(4)さそり座δ星(2.29等)の食。
2011年10月01日18時36分ころ。三河西部で高度14.7度、方位228.1度。
(5)小惑星1036Ganymedの地球接近。天文年鑑2011年版169頁によると、
10月28日頃、最近120年間(1900−2024年)のうちではもっとも明るい
8.3等までなる。
年月日 2011/10/28(9hJST)
赤経2時06.02分 赤緯+15度17.9分 等級(V)8.3m 離角 178度
(6)小惑星2005YU55の地球接近。天文年鑑2011年版242頁によると
小惑星 2005 YU55 接近日 2011/11/09 接近距離 0.0022AU
日々運動 77.0deg/day 最高光度 11.8m 太陽離隔 88deg
赤緯 +10deg
夕方西の空の「いるか座」に見えるようです。
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5. その他
浅井さんが出席されましたので、先月用意した「天体写真」とOAA名古屋のHPのコピーをお渡ししました。
追補
2011/09/18に撮影しました(伊賀)
(1)りゅう座矮新星 Nova Dra 2011
(2)M101の超新星 SN 2011 fe
(3)Garradd彗星 C/2009 P1
(4)小惑星 1036 Ganymed (1924TD)
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支部長 吉田孝次
メンバー 伊賀正夫、木村達也、長谷部孝男、池村俊彦、浅井香代、田中利彦、清野千代子、
滝 敏美、大倉正敏、水野義兼
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