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東亜天文学会 名古屋支部 2025年05月10日(土) 例会模様

-------------------------------------------------------------------- 日時  2025年05月10日(土) 14:00〜16:30 場所  名古屋市 西生涯学習センター 第三集会室 参加者:吉田孝次、長谷部孝男、今枝優、石黒誠、小林美樹、木村達也(6名、内会員4名) 主な話題: 1. 最近発見された彗星の軌道要素           (今枝) 2. 話題いろいろ                        (長谷部)  (1)月の長期にわたる火山活動を引き起こすマントル駆動機構  嵐の大洋地域には、かなり新しい時期の溶岩流が確認されている。  質量が小さい月では早期に冷却してしまい、10億年前位にマグマが湧出するメカニズムがはっきりしなかった。  愛媛大学の亀山真典教授のグループがシミュレーションにより、  古い時代には深部の放射性元素の発熱により暖められたマグマの上昇が支配的なのに対し、  比較的新しい時期の火成活動は 薄い地殻の下に滞留・濃縮した高密度物質の沈み込みによる  周囲マグマの受動的な上昇が引き起こしたと考えられることが判ったとのこと。  長谷部が約10年前 元勤務先の図書室で、関連団体である日本機械学会誌の「流れ」に関する特集の中に、  地球のマントル対流に関するシミュレーション記事を見つけた。  従来の正方形領域内の2Dに対し3D球殻シミュレーションが新しい。  マントル物質粘性の温度依存性による結果の変化に関心を持ち、メールにて疑問にお答えいただいた。  OAA松山総会開催に合わせて面会・解説をお願いし、訪問記を天界(2016年3月号)に記事投稿した。  当時、先生は地球が専門で月面に関しては条件が判らないとのことでしたが、  10年経過して東京大学の于賢洋氏・共著の東大の小河教授他と共著の論文発表ができたようです。 (2)第164回福井教室 on Zoom 4月26日  福井教室の卒業生で科学館の解説員である河野氏の研究で高速落下する分子雲が銀河面に衝突している現場を探す試み。  シミュレーション結果から予想されるヘッド−テイル構造を形状的に探し、  視線速度で塊相互を分離して分子雲が衝突で圧縮される様子を確認している。 (3)中日新聞の天文関係記事  4月13日〜5月9日の4週間で20件。  大阪万博に月面探査車模型展示、はやぶさ2目的地 意外と小さめ、ブルーオリジンに女性6人10分間飛行、  豊田織機宇宙カプセル耐熱材開発、豊山のMU-2航空宇宙技術遺産、春日井の星空観望会予告4月20日(曇天中止)、  太陽系外惑星に生命由来物質、母と星見た少年時代、大西さんがISS船長就任、北極海氷域が面積最小、  神舟20号打ち上げ、5月24日小牧中部公民館で天文講座、加賀谷氏のオーロラ写真、H2A最終号機6月打ち上げ、  チチュルブ小惑星衝突後の生態系回復、ブラックホールジェットの発生条件、梶田隆章卓越教授が「創造性の育成塾」、  りゅうぐう試料を小惑星基準に、ソ連の金星探査機残骸が大気圏落下予想2件。 (4)ネット上の気になった記事  exoALMAが明らかにした動的で複雑な惑星誕生の現場  その他、ISSの見える条件とJAXAの予報、関連してマウナケア天文台での流星カメラに写ったISSビデオ映像の紹介 3. 星の物語 (小林) 4月例会で長谷部さんが紹介された「中日新聞2025年4月10日(夕刊) 1面 星の物語(永田 美絵)」の記載内容に違和感を感じ深掘りしてみました。 原文より 春の空には遠くにある銀河が多く見えますが、遠い銀河を調べるのには赤外線が役に立ちます。 銀河は可視光を出していますが遠い距離を伝わってくる間に波の波長が伸びて赤外線になるのです。 赤外線より波長の長い電波は星間ガスや星が爆を発した残骸など目には見えない領域を観測することができます。 春の夜空はみどころ満載です。 特に太字部分について、考察した (1) 春の空には遠くにある銀河が多く見えます   見える=英語のseeに相当するとすると、普通の視力であれば、誰でも視界に入れることが出来ることを意味する。   その様な銀河が存在するのか。   春によく観測されるおとめ座銀河団をいわんとしているのではないかと推察したが、おとめ座銀河団は通常肉眼では観測できない。 (2)遠い距離を伝わってくる間に波の波長が伸びて赤外線になる   救いようのない誤り。遠い距離を伝わるから波長が伸びるのではなく、遠ざかるから赤方偏移により波長が伸びるのである。 仮に銀河と地球との距離が全く変化しないと過程した場合、相当遠距離にある銀河でも位置が変わらないため波長も変わらない。 また、仮に観測対象銀河が地球に近づいてきたと過程した場合、青方偏移により波長は短くなり紫外線、X線領域にシフトする。 つまり、遠い距離を伝わるから波長が伸びて赤外線なる訳ではない。   また、(1)で推察したおとめ座銀河団は、地球との距離が比較的近く、赤方偏移により可視光が赤外線域にシフトする程離れてはいない。 これも春に観測し易いかみのけ座銀河団は、おとめ座銀河団よりは遠くに位置するが、これも赤方偏移で可視光域が全て 赤外線にスライドする程遠くにはいない。 (3)春の夜空はみどころ満載   具体的な事が何一つ書かれておらず、何をみればよいのか全く伝わらない。 4. NEOの追観測(フォローアップ)の紹介      (石黒) NEO観測の紹介(pdf)> astrometry.netの使い方(pdf) 5. 話題いろいろ                        (木村) (1) 太陽黒点 (2) 星雲・銀河   久しぶりに天狗棚の方に行ってきた時に撮影した分です。 (3) 動画   a. 中国「天宮」ステーション太陽面通過   今年の3月9日の様子です。(mp4) b. 2014JO25の移動    石黒さんが参加されているのでちょっと古いですが見てもらいました。   2014JO25の移動(mp4)                      6. 天文世界いろいろ (吉田) 1) 天文に関係したしごとの紹介 伊与原 新 さん(星ナビ2022年8月号参照): 小説家『月まで3km』 その昔ならば、天文の世界で大学を卒業されたら、ましてや研究者の道を歩み始められた方が文学で数々の賞を取られておられます。 私たちの世代の人間からしますと、星を見てるだけで『変わりもの扱いされてきた』ことを思えば、天文の世界が市民権を得ただけでなく、 ずいぶん世界が広がったという感想をもっています。  本書のタイトルとなった『月まで3km』の写真を撮られた星??のソムリエR? 齋藤 泰隆さんもずいぶん世界の広い方なのです。 (現在豊川市ジオスペース館でプラネタリウムの解説者) ??ソムリエとして各地で働いている方の状況は、いろいろ…資格だけで楽しんでいる 人たちだけではない実態を知ることになっています。 1960年代のアマチュア天文仲間は、互いに知っておりましたし、いろんなジャンルをやってみました。互いに協力もできました。 多くの成果も出してきました。 分野が広がって、年齢を重ねて。または、現役時代にはできなかったらことを定年後始められた方々も多いことでしょう。  ですから、互いに知らないことも増えてきました。たがいの顔も知らなくなってきました。そして、協力することも減ってきているように 感じています。とても残念なことだと思っています。  『変わりもの』よばわりされながら、夢を見てきたのに、みんな歳をとって一つのジャンルの人数が減ってしまって、立ち行かなくなっても、 まだ自己を主張して、協力できなくなってしまっているアマチュアの天文の世界を嘆いております。  吉田孝次 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  支部長  木村達也  メンバー 吉田孝次、長谷部孝男、小林 美樹、今枝優 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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